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曲のこと

先日のライブで演奏した曲の事を書いてみようと思います。
今まであまりそういう事をしなかったのですが、せっかくのオリジナルのライブをしたのだからこの機会に書いておこうかと、、、 と言うわけで まずは先日のセットリストをどうぞ。 

1.Balder  (Suomi Morishita)

2.The Leafs   (Suomi Morishita)
3.Tomtes room   (Suomi Morishita)
4.Vikings Ship  (Suomi Morishita)

5.Stella by starlight (Victor Young)

6.Porter la Porte (Masako Hamamura)
7.Valö  (Suomi Morishita)

8.Ein   (Suomi Morishita)

en やかまし村のテーマ(Georg Riedel)  - Gonzo-san   (Suomi Morishita

全10曲 オリジナル7曲 カバー3曲です。 全部オリジナルにしようかと思ったりもしたのですが、少し雰囲気を変える為に3曲カバーにしました。 では1曲目からいってみましょう。 

1.  Balder (Suomi Morishita)
    
先ずは一曲目 ”Balder”  今回ほんとに一曲目悩みました。でも最終的にはこの曲しかないやろうと。 少し前に北欧神話に基づいて曲を書くと言う事を挑戦していて、そこに出てくる様々な神さまに曲を書いていました。その内の一曲。 一昨年くらいに書いた曲ですが、かなりハーモニーが入り組んでいて難しいです、独特の浮遊感と曇った感じが北欧の香りを醸し出せているかなっと思っていて気に入っている曲です。ちなみに読み方はバルドルが正しい発音のようですが、僕らの間ではバルダーになってます。

 

2. The Leafs  (Suomi Morishita)
 2曲目はBalderと打って変わって5拍子のマイナーチューン。スタンダードの Autumn Leaves が元になってるのですが、面影なし!笑 野良犬バンドのために書いたメロディを別のアレンジでやっています。 メロディは結構複雑でフロント楽器にはいつも苦労をかけています(ごめんなさい)  今回はバスクラリネットでメロディを吹いてもらい、かなり厳つい曲となりましたが、序盤にガツンとした曲が欲しかったので入れました。 ベース甲斐さんのソロがめっちゃカッコ良くてテンション上がってました、孝紀さんのバスクラも火を吹いていましたね!! 楽しかった。

3. Tomte's Room  (Suomi Morishita)
 さて、かなり白熱したところで、この曲。 スウェーデンの小人"トムテ”を題材にした曲です。上の画像の譜面にいる赤い帽子のキャラクターがトムテです。多分8年前くらいに書いた曲で Viktor Rydberg/詩 Harald Wiberg/絵 のトムテという絵本がすごく深くて感銘を受けて書いた曲です。 何世代もの間その家を守り続けている小人のトムテが 命の行く末をずっと考えているという深い絵本なのですが、それがミニマリズムにも通ずるものがあり、自分もより長い視野で物事を見守りたいと思った一冊でした。 この曲もそんな感じで、シンプル枠の中でどう自分を表現するかということに重きを置いています。今回は実際に小人の声を聞いた(!!)という、パーカッションの池田安友子さんをフィーチャリングしたアレンジで、不思議な音の世界を表現できたかなと思います。いろんな音が飛び出してきてめっちゃ楽しかった! 僕も小さなアコースティックギターに持ち替えて演奏。テーマのメロディをベースとクラリネットでユニゾンしているのですが、途中でベースだけがピッチをずらして(微分音)弾いていて、西洋音楽にはない独特の揺らぎを出す という手法も試みています。

4. Viking's Ship   (Suomi Morishita)
 この曲で前半ラストです。 遥か昔、スカンジナビア付近の海を牛耳っていた、海の商人 Viking。 この曲は、彼らが木造の船で北極海やカナダまで行っていた痕跡が見つかった という特集が あるサイエンス雑誌に載っていて、その時に浮かんだ情景をイメージした曲です。 この曲は音楽的にも、面白い試みがされています。 前半部と後半部では同じ音のモチーフが使われています、これは極圏の方に見られる、極夜(ずっと夜)と白夜(ずっと昼)を表現していて、前半は割と暗く不安なハーモニー、後半は明るく浮遊感のあるハーモニーで構成しています。 途中のバスクラとベースがユニゾンするフレーズは軋む木造の船を表現していました。 孝紀さんにクラリネット、バスクラの持ち替えをお願いし、僕のイメージは完成しました。 この曲が終わると、旅から帰ってきた気分です(笑)



5. Stella by Starlight  (Victor Young)
 さて、セカンドセットの始まりです、一曲目はスタンダードのステラ。ジャズを知っている方は良くご存知の 
Victor Youngの名曲です。ピアニストの浜村昌子さんが、原曲のコードチェンジで演奏すると言う試みをしていて、その意味がすごく大きい事に気付かされた曲です。この曲自体はジャズを始めた当初から知っているのですが、それはジャズミュージシャンが演奏しやすい様に少し手直しされたコードチェンジでした。この曲の原曲のチェンジは非常に美しくて、ミステリアス。『呪いの家』(1944)というホラー映画の音楽だったのも頷けます。今回のアレンジはフランク・シナトラが歌ったKeyとストリングスアレンジを少しだけ取り入れました。 実は曲中に転調しまくっていて、G→B→E♭→Gと1コーラス毎に転調しています。

6. Porter la Porte   (Masako Hamamura) 
 この曲は甲斐さんが、持って来てくれた浜村昌子さんのオリジナル曲で、僕も最近知りました。 浜村さんがフランスの映画にインスピレーションを得て書いた曲(甲斐さん談)らしいのですが、シンプルなメロディの後ろで動くハーモニーがとても革新的で絶妙です。少し怖い映画らしいのですが、そう言った場面も曲の中に内包されています。 演奏していて、どこか懐かしい様な、子供の頃にタイムスリップした様な不思議な感覚になりました。 この曲はアコースティックギターで。 現在闘病中の浜村さんへの思いがこもった演奏になりました。 
*追記 : 浜村さんがインスピレーションを得たのは寺山修司の実験映像との事です。なんか勘違いしてました!ちなみにそれがこちらhttps://www.youtube.com/watch?reload=9&v=2E0E0vYKA9Q&feature=youtu.be&fbclid=IwAR29hQcEuazrlCeFGeDXEKGPm-qM7iUOXm0iyY_H3L5KC4eFkYscruP3hb8  なんとなくのどかな中に狂気じみた世界が広がっていますね、、、、ご興味ある方はご覧あれ!


7. 
Valö  (Suomi Morishita)
 続いて演奏したのは、僕がフィンランドに行った時に書いた バロ という曲です。フィンランド語で "光” と言う意味です。 3年ほど前にフィンランドに初めて行ったのですが、僕の名前に由来の国でもあり(Suomi はフィンランド語でフィンランドと言う意味)行ってみたかったところです。 その土地で感じた空気感を僕なりに表現しました。 少し暗い雰囲気の曲なんですが、トゥルクと言う町の古い教会に入った時の感じが強く影響しています。 薄暗く荘厳な空気の建物の中に天窓から光が差し込んで床を微かに照らしてる 情景がその時すごく焼き付いていて、帰国してからすぐ書き上げました。 この街でKanteleというフィンランドの民族楽器に出会い、その後別の街で手に入れました。 今回は出番がなかったのですが、またいつか使います。


8. Ein   (Suomi Morishita)
 遂に本編ラスト。。 この曲は僕の20代の心を表現しています。 この曲もトムテと同時期に書いた曲です。 初めて自分の中から自然と湧き出て来たインスピレーションを書き留めた曲。 その当時使っていた手帳のデザインが水彩画が滲んだ様な模様で、それを見ていたら自然と曲ができていました。 Ein(アイン)はその手帳に書かれていたドイツ語で 数字の1という意味。単純ですが、僕の中ではとても重要な数字です。色々なミュージシャンと演奏し、どれも大切な思い出として曲と共に僕の脳裏に刻まれています。 曲のラスト、終わってしまいたくないという思いがとても強くなったのを覚えています。 アンコールの拍手がどれほど嬉しかったことか、、、



Encore  やかまし村のテーマ  
(Georg Riedel)  -   Gonzo-san  (Suomi Morishita)

 アンコール!! バッチリ用意してます(笑)   やかまし村のテーマ(Georg Riedel)  この曲は僕が小学生の頃に見ていた映画『やかまし村の春夏秋冬』のテーマ曲で、スウェーデン の田舎の村をテーマにしたリンドグレーン作の原作をもとに作られた映画なんですが、すごくのほほんとして楽しい映画です。 ある日ひょんなことから思い出して見てみると曲の良さが本当にこの映画を引き立てていると思って、採譜してアレンジしてやって来ました。 最近はあまりやらなかったのですが、安友子さんのパーカッションとぜひ合わせたかったのもあったので、今回できてよかったです。 そして間髪入れずに Gonzo-san 笑 もう、なんせゆらゆらした曲が多かったので、最後にぶちかまそう的発想です。 全員最高!笑 破茶滅茶、適当さ、本編ではできないこの空気感、、、、でもこれが美味しい。 思い思いのアイデアや初期衝動が絶妙に交差する。実は5分くらいで書いた曲なんですが、その許容量の多さには作者本人も驚いています! 迷曲!!  そんな感じでライブも無事終了! 2時間15分越え。。 お越しくださった皆さん遅くなってすいません。そして長時間のご静聴ありがとうございました!! 


そして長文読んで頂いてありがとうございました!! 


森下周央彌